エレガントに輝くプリント基板。銅箔を削った基板もプリント基板というのか、謎。 プリント基板をPWB、それに部品を実装するとPCBと言う。らしい。 |
新たな問題
CNCルータがあるのなら、プロトタイプのPWBを作れるようになりたいものです。
以前紹介した彫刻文字やパネル加工のときとは訳が違って、PWBの場合「0.1mmの深さを精度良く削る」といった精度を求められます。浅いと回路が短絡したり、深くても……、深くてもいろいろな問題が生じるはずです。
CNC2417の機械的精度にも問題があります。
ダイヤルゲージにて測定してみると、Z軸がテーブルの真ん中にあるとき、両側にあるときよりZ軸が0.1mm沈みます。重みによるたわみがあるのです。その他、生基板の歪みもあるので、何も対策せずに深さ0.1mmで均等よくとはいかないわけです。
ダイヤルゲージにて測定してみると、Z軸がテーブルの真ん中にあるとき、両側にあるときよりZ軸が0.1mm沈みます。重みによるたわみがあるのです。その他、生基板の歪みもあるので、何も対策せずに深さ0.1mmで均等よくとはいかないわけです。
BRGLコントロールソフト「grblControl」と、CNC2417のCNCコントローラーは歪みを補正するHeightmapに対応しています。
左上のZ-Probeを使います |
Z-Probeの一方を基盤に、もう一方をエンドミル等につなぎ、例えばソフトの方で[Z-Probe]を押すと、Z軸がゆっくり下がり、エンドミルが基盤にあたって導通するとそこでストップ、それがZ軸の原点に設定できるという、シンプルですが大変優れた機能です。
これを基板上の任意の地点でたくさんやれば、歪みを補正できるというのがHeightmapです。
Heightmapをやってみるとこんな感じになります |
Heightmap settingsの内容を簡単に説明すると―
BorderでHeightmapを作成する範囲を設定し、
Probe gridで何点あたるか設定します。Zt,Zbは基準点のZ軸から設定した範囲でZ-Probeが始まるということで、大きすぎると時間がかかりますし、歪みよりも小さい値を設定するとエラーで止まります。
Interpolation gridはグリッドの補完機能です。これはグリッド表示のための機能なのか、切削の精度に関係するのかはよくわかってないんですが。
このHeightmapをつかった補正はかなり効果的です。これで歪み問題はほぼ解決します。
Z軸にダイヤルゲージをつけて、その効果を確かめてみました。
300%のOverrideで動作したのを動画で2倍速しています。
カット基盤はサンハヤトの銅張積層板(片面・紙フェノール)FR-1を使用します。銅箔の厚みは35μmなので、100μm削れば確実に銅箔を削り取ることが出来ます。±50μmに納まれば、削り残しはないはずですので、その範囲にリミット針を置いてます。
補正前では全く範囲内に収まりませんが、補正後はなんとか目標の範囲に収まりました。これなら行けそうな気がします。
こうやって事前にテストすると、問題点が洗い出せていいですね。
コレットチャックをつけたい
付属でついてきたエンドミルをつける治具は1/8インチ(3.175mm)のエンドミルが取り付けられますが、実際はそれ以外のエンドミルをつけたいことが、よくあります。そこで、様々な径のエンドミルが取り付けられるコレットチャックを取り付けたのですが、実はこれが一番嵌りました。
国内ではこういうDIY向けの部品はあまり流通していないようで、海外の部品を入手しなくてはいけないんですが、いざつけてみるとめっちゃ芯ブレするんです。まぁ多少なら行けるか…とか思って奮発して買った日進工具のエンドミルが開始5秒で折れてから、もう二度と日進工具のエンドミルなんて買うかって思いましたね。日進工具のせいじゃないんですが、やっぱり最初は何度も折っても痛くないアマゾンで売ってるVカッターが一番いいと思います。
で、失敗したらまた別なの注文しようとしてまた数週間待つでしょ?まぁ、それはおいといて…。
国内ではこういうDIY向けの部品はあまり流通していないようで、海外の部品を入手しなくてはいけないんですが、いざつけてみるとめっちゃ芯ブレするんです。まぁ多少なら行けるか…とか思って奮発して買った日進工具のエンドミルが開始5秒で折れてから、もう二度と日進工具のエンドミルなんて買うかって思いましたね。日進工具のせいじゃないんですが、やっぱり最初は何度も折っても痛くないアマゾンで売ってるVカッターが一番いいと思います。
で、失敗したらまた別なの注文しようとしてまた数週間待つでしょ?まぁ、それはおいといて…。
いろいろ試してみたんですが、どうもうまくいかなくて。コレットナットとか明らかに穴の位置ずれてるのもあるしで、アマゾンでヤケになって5個種類くらい買って、何個か試してる内に、モーターシャフトからコレットチャックが外れなくなって結局それっきりです。最後についてるそれが、最大0.07mmくらいの振れなので、これで妥協しましょうということでこれが2ヶ月くらい時間を浪費しました。
これは何個かかって、一番いいのを選ぶのがいいと思います。
これは何個かかって、一番いいのを選ぶのがいいと思います。
これは基盤に穴掘る用のドリルビット(φ0.7mm)。 芯がずれるというか斜めになるんで、先っちょだけ出して使ってます。 |
ぶっちゃけ1/8インチだけなら、付属の治具が一番良かったんだけどね。
EagleでGコードまで作れる
回路作成から基盤の設計し、そこからCNCルータ用のGコードの作成はすべてAutodesk Eagleで完結します。とても良くできてます。
ここで中途半端な方法を説明するより、こちらの記事を見て頂いたほうがよく分かると思います。EagleにPCB-GCodeというプラグインを入れて使用するのですが、その導入から各種設定方法までとても丁寧にまとめられています。
今回は習作ということで、AC100VからDC5Vを作る電源回路の基盤を作ってみます。これは後々とあるモジュールで使う予定です。まずはいろいろ頑張って作ります。
つくってて、これ効果あるんかみたいな部品があるんで参考にしてはいけません。 |
基盤左側がAC100Vの場所で、ノイズフィルターになってます。効果のほどはわかりません。そこからトランスで9Vに降圧し、右側ブリッジダイオードで整流し、レギュレータ回路で5V作ります。
CNCルータで生基盤を削ると、それ以外がベタGNDみたいになるんですが、AC100Vなんで絶縁距離を確保しないといけません。PCB-GCodeでどれくらいの幅削るか設定できるのですが、0.1mm幅で削っていくと、1mm幅を作るには10周しなくてはいけなくなるんです。これがすごい時間かかって、ACとDC部分は分ければよかったなと後悔。切削幅を個別には指定できないのです。
試作なので次回作に期待です。もちろんパターン幅はEagleもともとの機能で変更可能です。
試作なので次回作に期待です。もちろんパターン幅はEagleもともとの機能で変更可能です。
いろいろやって、設定とか入力するとGコードが作成されます。プロジェクトと同じフォルダに出力されています。
今回はパターンの切削と、穴あけのGコードだけ作成しました。
今回はパターンの切削と、穴あけのGコードだけ作成しました。
うまくいくとこういう画面が出てくるので、ある程度の確認が出来ます。 余談ですが、画面がサイバーパンクな感じで好きです。 |
準備…ヨシ!!(よくわかってない)
これで基盤を削る準備が整いました。行けそうな気がするんで、とりあえず動かしてみます。
エンドミルはアマゾンで売ってるVカッタ 先端径0.1mm 先端角40° を使用しました。10°より折れにくそうな見た目しているから40°にしました。
XYの送り速度ですけど、弱気の80mm/minに。1周10分ですが、それを10周するので1時間40分かかります。隣の部屋からクレーム来ないかが一番心配でした。
徐々に速度は上げていくつもりで、最終的には200mm/minくらいは上げられるんじゃないかなぁって、なんの根拠もないんですけど、思ってます。
ウォー!!!なんかいい感じです!! (結局コレットナット使うのを諦めてる時) |
ジャーン!
良さそうです!! |
最初にしてはいい感じじゃないでしょうか。この前に日進工具のエンドミルを数秒で破壊し、一枚基盤を棄ててるので2枚目です。
よく見てみますと、削り残しが少し見られます。部分的に許容を上回る歪みがあったのかもしれません、今度はZ-Probeのポイント数を増やしてみてもいいもしれないです。
AC100V側は短絡が怖いので、削り残しはカッターとかで削り落としました。 DC側、パターンに余裕があるんだからもっと太くしても良かったかもしれません。 |
サンハヤトのカット基板、想像していたより銅箔ががっちりしています。ちょっとやそっとじゃ剥がれません。
いきなりステーキみたいになりそうでこわかった。 |
部品をつけて、負荷つなげてテストしたところ5Vちゃんと出てるんで、大丈夫だとおもいます。
ここまで来るのに時間がかかりましたが、工作のクオリティが上がった感じがしていいですね。ユニバーサル基板で組んだほうが早い感は否めませんが、一定の品質で同じものがすぐ作れるというのは結構強いと思います。これから早くなりますよ。
ここまで来るのに時間がかかりましたが、工作のクオリティが上がった感じがしていいですね。ユニバーサル基板で組んだほうが早い感は否めませんが、一定の品質で同じものがすぐ作れるというのは結構強いと思います。これから早くなりますよ。
更に極めれば、いずれは表面実装も行けるかもしれません。
あと、裏面はレジストがついてるわけじゃないんで、銅が酸化していくほか、ホコリ等によって絶縁性も低下していくと思いますので、ハヤコートをスプレーすると、途端にそれっぽくなりますのでおすすめです。
ハヤコートは途端にそれっぽくなる緑色にしました。 |
今度はこれをケースに収めていこうと思います。
参考サイト
アマゾンで買える今回登場した道具
うまくいけばこれ1セットであらゆるエンドミルを取り付けることができる大変オトクなセットです。
芯の振れは…、どうぞお祈りください。
普通に使えるのでこういうのでいいと思います。国産は…もういいや…。
基板のホールはφ0.7mmのドリルビットで開けました。ちょっと大きい部品だと入らないんですが、そこだけハンドドリルで広げました。
エンドミルは買うと高し、折れたら悲しい。
銅は触ると指紋の跡が残っちゃうので、そういう対策だけでもかなりいいと思います。
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