紫外線カットの効果をみたい。

紫外線カットとかの製品がありますよね。
99%カット!とか本当にそんな都合よくカットできるのかと。
紫外線は見えないので、どれほど効果があるのか見えないのが寂しいです。
紫外線の影響がどれくらいあるのか、調べる方法があると何かと便利でしょう。

市販品を見てみると、紫外線強度計という測定器が販売されていますが、高額です。個人で使用するには、絶対的な数値の確からしさはあまり重要ではなく、相対的な変化がわかれば良い場合がほとんどです。
安価なものですと、紫外線に反応する塗料の色の濃さに応じてどの程度の紫外線量かわかるレベルチェッカーがありますが、逆にもうちょっと精度がほしいところです。


そんなみなさんのために、素敵なモジュールが秋月電子から発売されています。

詳しい説明はマニュアルとデータシートをご参照していただくとして、ざっくりいうと紫外線の強さに比例したアナログ電圧が出力されるのです。
ですからとても扱いやすい。
このモジュールと電源とデジタルマルチメーターがあれば簡易的ではあるものの、かなり確度のある紫外線強度測定の実験ができます。
早速やってみましょう。


実験なので回路はとてもシンプル。3.3Vを出力するための三端子レギュレータと、モジュールのみ。Vo端子をデジタルマルチメーターにつなぎます。

今回はお人形用ショーケースのガラスフィルムに使用した3M Scotchtint 反射低減フィルム LR2CLARXの紫外線カット効果を確認します。
カタログ値では両面フィルム貼付け時の紫外線透過率が0.0%(四捨五入なのでたぶん99.96%以上カット)です。

また、紫外線の光源として3W紫外線パワーLED 365nm OSV1XME3E1Sを使用しました。

どのセンサーと光源の組み合わせでも言えることですが、センサーが波長ごとの感度特性を持っていて、光源が太陽光の分光分布と一致しない以上、太陽光の紫外線と比較することは難しいことです。今回は相対的な比較をするに留めているため、それらの難しいところについては目をつぶって実験を行います。
また、紫外線は波長によって影響度や性質が異なるほか、素材に対する透過率も大きく変化します。今回はLEDのピーク波長が365nmということなので、今回の実験はUV-Aの領域が対応してます。

紫外線LEDからは強力な紫外線が放射しています。実験の際は紫外線カットに対応した防護メガネなどを着用してください。



安定した状態で、センサーに光が入らないように覆いをした状態で出力電圧を測定します。この時の電圧をオフセット電圧とし、結果はこの電圧を引いた値にします。

そしたら、センサーとLEDが動かないように固定して、測定を行います。
素通しの時の電圧と、試料をおいた時の電圧を測定し、電圧の減少量を紫外線カット率(%)とします。


紫外線カットフィルムを貼ったガラスを載せています。
モジュールに直接荷重が加わると端子部の抵抗値変化などの影響で、出力電圧に差が生じてしまうので、実際はモジュールに荷重が加わらないようにスペーサーをおいています。
ご覧の通りかなりざっくり実験です。

試料素通しの時の電圧(V)試料をおいた時の電圧(V)UVカット率(%)
5mm厚透明ガラス2.412092.41259-0.02
5mm厚高透過ガラス2.410712.41116-0.02
高透過+UVカット2.411650.0022699.91

電圧はすべてオフセット電圧を引いた値です。

結果はカタログ値とだいたい同じ値が出たのでかなりいい感じです。可視光領域の感度があるためか、若干変な値もありますけどけっこう使えそうです。

この通り、ガラスは何もしない状態ではUV-Aの紫外線は素通しすることがわかります。部屋の中でも西日などで本の背表紙が焼けるわけです。
逆に紫外線を照射するLEDや紫外線をなるべく阻害しないようにしたいセンサーのカバーにはガラスはとても有効です。ただしこれはUV-Aの領域に関して言えることで、それよりも波長が短いとガラスそのものの遮蔽効果で紫外線は透過しません。

それとUVカットフィルム、効果絶大ですね。
視覚的に実感することができない紫外線でしたが、これで簡単に紫外線を見える化することが出来ました。
大切な書物やフィギュア、コレクションがある方は今の環境の紫外線量を確認したり、UVカットフィルムの効果をチェックしてみてはいかがでしょうか。

応用として、PICやArduinoとつないで、簡易的なチェッカーみたいのが作れるかもしれません。自分はいずれやるつもりです。

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