USBを絶縁しよう(USBデジタルアイソレータ)。

Arduinoなどを使ってUSBでパソコンと通信したりすると、間違って誤った電圧を加えてしまい、パソコン側を破壊してしまうのではないかとか、USBでの通信はそのままにして、電源はこちらで用意した電源を使ってほしいとかそういう時ありませんか?ありますよね。
そういうときに便利なのが、電気的に絶縁を行うデジタルアイソレータです。

従来のデジタルアイソレータではフォトカプラを使用した絶縁が主流でしたが、通信速度や消費電力の欠点などから、USB通信を絶縁する場合、トランスを使用した磁気(容量)的作用によって絶縁するみたいです。

オーディオが好きな人だと、こういうデジタルアイソレータを使うことでグラウンドループのノイズから切り離され、音質向上につながる効果があることを知っているひともいると思います。オーディオにとどまらず、ノイズと縁を切りたい測定機器や、インバータ機器、低圧部と高圧部との電気的な縁を切りたいとか、いろいろな場面で活躍する絶縁装置は出番の多い部品です。


入手しやすいUSB用デジタルアイソレータとして、アナログ・デバイセズ株式会社のADuM4160、ADuM3160があります。
両者の大きな違いは絶縁電圧の違いのみとおもわれ、4160が5000Vrms 1分間、3160が2500Vrms 1分間です。
値段にも差があり、4160が実売1,800円くらい、3160が700円くらいでした。

今回はいつも使ってるショップで販売しているアイソレータがAduM4160だったので、こちらにしました。耐圧は高いに越したことはないでしょう(小並感)。

親切な日本語のデータシートがありますので、そこのPCBレイアウトを参考にそのまま作ってください。
スピードセレクタはアップストリーム、ダウンストリーム、いずれもHi(Vdd1,2へ接続)してフルスピードにしておきます。ロースピードにする理由はありません。


そういうことでこんな感じになりました。

石鹸箱みたいでいいかんじです。関係ないけど、今回は文字が綺麗に掘れました。電源はホスト側から給電するか、バナナプラグからデバイス用の電源を供給し、電源も絶縁するかトグルスイッチで切り替えられるようにしました。

なかはこんなかんじです。

まあまあなかんじです。DIP化基盤ばかりで、表面実装のあこがれを感じます。


こんなかんじで、お好みで使用します。
LEDランプをつけて、使用中はムーディなかんじになります。電圧検出もコンパレーターもないので、ただ光るだけ、娯楽用LEDです。



電源と接続して、USB充電器としても使えます。

これで電圧計と電流計を外部に繋げばUSBの電力監視できるじゃんと思ったんですが、LEDランプに電流が使われるので、正確な消費電流が測定できません。余計なことしてしまいました。まぁLEDなくても、デジタルアイソレータにも電流がちょっと流れてしまうので、完全にデバイス単独の電流を測るならば、どのみち電流測定用の端子を用意しないといけません。

このデジタルアイソレータを使う際に注意しなければいけないのは、通信速度が低下することです。
USB 2.0互換ですが、スピードセレクタをHi(ハイスピードモード)にした状態の通信速度は12Mbpsとなり、USB 1.1に相当します。USB 2.0の規格480Mbpsには到底及びません。
実験ではこのスピードを必要とすることはたぶん無いので充分ですが、大容量記憶デバイスやオーディオ・インターフェースなどとを接続する際は、通信速度の低下に注意してください。

ありていに言うと、このICを使用したデジタルアイソレータはアマゾンとかで安く手に入れることができます。買うのが早いし、安いのですが、今回は作ると楽しいよねってことで作ってみました。
使用頻度の高い装置ですから、好きな箱に入れたオリジナルのデジタルアイソレータを作ってみるのもいいかもしれません。

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